ムスクの香りが強いのは苦手
数年ぶりに歌手を好きになった。
長年応援していた本命盤(推しているバンドの意)のメンバーがやらかしたっぽくて心ボロボロになっていた矢先のことである。決して失恋して出来た穴を埋めるために言い寄ってきた適当な男と付き合う、的な感じではないことは強く主張したい。
ところで大きく脱線するが「失恋の穴を適当な男で埋める」という表現は大変いやらしくはないだろうか。私の中のチェリーボーイが喜んでいる。
さて話を戻すが、とにかくめちゃくちゃにハマったのでその歌手にファンレターを書くことにした。
いきなりと思われるだろうがちゃんと演奏を聴き→その後CDを手売りしていたので買い→それを聴いてその歌手が出した他のCDをありったけ買うという手順を踏んだので安心してほしい。この間一カ月くらいの話ではあるが。
私は自他共に認めるほどの気持ち悪い愛し方をしてしまう人間なので、相手に恐怖心を与えぬようかなり時間をかけて想いをしたためた。気を抜くとすぐに「あなたが同じ地球上で呼吸をしているという事実だけで救われます」みたいな怪文書になってしまうので。
精一杯気持ち悪さを薄めた文章を便箋におさめ、ついでに何か良い匂いがすると楽しいかもしれないと思いつき香水をちょっとつけることにした。
しかし香水なんて数年前姉にもらったきりで、しかもそれも実家にあるため使えない。じゃあ買うか!!!!!と威勢よく財布を掴んでドラッグストアに行った。このフットワークの軽さが仕事で出ればいいのに。
いざ店頭で香水瓶の群れを眺めるも、どの匂いがどんな風に香るのか全くわからない。テスターを嗅いでも
「甘い」「スースーする」
しか感想が出てこなかった。
こういうときのインターネット様である。どうせなら普段遣いできそうなものがいい、と検索窓に「20代 香水 おすすめ」と打った。
出てきたものと店頭のテスターを照合し、良いのが分からないので苦手な匂いのものを省く消去法で香水を選別していく。
結果、残ったのが「インカントシャイン」である。
マ゛ーーーーー!!!!!と叫びたかった。インカントシャインは本命盤のボーカルがソロプロジェクトで出した歌に出てくる香水である。バンギャだったら知らない者はいないであろう、有名な曲と香水だ。
香水に罪は無いがさすがに手が伸びなかった。今彼とのデートに元彼と一緒に買った靴を履いていくような感覚だ。
その後何件か別の店を周り、無事ラムネの匂いがする香水を買えた。さっぱりしてて使いやすい。
別に相手の歌手は私がJanner(私が推しているバンドのファンのこと)だとは分からないしインカントシャインという香水も知らないかもしれない。音楽のジャンルが違うから。というかそもそもファンレターを受け取ってもらえるかも不明である。
だからこれは完全なる自己満足自己完結なのだが、推しをイメージしたものを他の推しに流用するのはちょっと抵抗があるのだ。
なんだか長くなってしまった。
とりあえず今願うのはファンレターが受け取り拒否or保管期限超過で戻ってきませんようにということとJanne Da Arcの復活です。
ちなみにAcid Black Cherryの某曲中に出てくるインカントシャインは、曲の主人公でも主人公の彼氏でもなく彼氏の浮気相手の匂い。